『オークションの人間行動学 最新理論からネットオークション必勝法まで』
目次

第1章 イギリス式オークションとヴィッカレー・オークション
第2章 ヴィッカレーからネットオークションへ
第3章 ネットオークションの入札戦略を観察する
第4章 もしネットオークションが1位価格だったら
第5章 売り手が送るシグナル
第6章 価格
第7章 不正行為
第8章 エピローグ
付録A ヴィッカレーによるオークション理論の創造
付録B ライリーとサムエルソンの最適オークション
付録C マイヤーソンの最適メカニズム
付録D 実験室実験
第1章:イギリス式オークションとヴィッカレー・オークション
本章では、一般的なオークションの歴史を短く紹介している。特に著者が熱中している古銭のオークションについては、eBayが登場する以前の郵便入札販売の例として紹介されている。それから、支配戦略や戦略的同値性といった概念と共に、4つの標準的なオークション形式であるイギリス式オークション、ヴィッカレー・オークション、オランダ式オークションおよび1位価格オークションが紹介されている。
第2章:ヴィッカレーからネットオークションへ
本章では、eBayのオークションを、郵便入札販売がインターネット上に移行したことの必然的結果として考えることができることを示そうとしている。特に、eBayのオークションを、動的な2位価格オークション(カリフォルニア式オークション)として特徴づけ、ヴィッカレー(2位価格)・オークションとその相違点が細かく比較されている。
第3章:ネットオークションの入札戦略を観察する
本章では、eBayにおける実際の入札行動を示すことによって、eBayで観察されている行動を分類する。ここで注目されるのは、特に買い手にとっては早期入札と狙い撃ち入札であり、暫定的に買い手にとっては狙い撃ち入札が好ましいことが示される。また、売り手にとって開始価格や留保価格を最適に設定することの重要性が論じられる。
第4章:もしネットオークションが1位価格だったら
本章では、1位価格と2位価格オークションが比較され、それから独立・私的価値にもとづく理論によって、1位価格オークションにおいてはビッド・シェイディング(評価値より低い額をビッドすること)が最適であることが示される。また、ベイジアン・ナッシュ均衡や収入同値性といった概念についても説明される。それから、形式的ではない仕方で、eBayが1位価格ではなくて2位価格オークションであることが示される。また、1位価格オークションは2位価格オークションに比べて、早期入札を思いとどまる効果があるので、買い手を引きつけ、早期入札させることで利益を得やすい売り手にとっては、2位価格オークションの方が好ましく、そのため、eBayは2位価格オークションを採用していると説明される。
第5章:売り手が送るシグナル
本章では、留保価格を最適に選ぶに当たっての売り手の問題が検討される。留保価格を公開する場合と秘匿する場合の両方が検討される。その上で、リンケージ原理とミルグロムとウェーバーによる完全開示原理が導かれる。商品情報を正直に開示し、信頼を築いて買い手を引きつけ、競争を促進することこそが売り手にとって重大な問題であることが示される。
第6章:価格
本章では、買い手が直面する中心的な問題である、入札額をいくらにすればよいのかという問題に取り組む。その際、実証研究で観察された過大入札や均衡外行動に関するいくつかの重要な例が示される。そこには、勝者の呪いや実験室実験で見られる過大入札、さらに収入同値定理の不成立に関する実証的証拠も含まれている。それから、こうした行動と理論とを調停することを目指した2つの修正理論が紹介される。それらは、それぞれリスク回避性とスパイト性(いじわる行動)を導入したものである。最後に、競り上げ競争や熱狂、バブルといった、eBayに限らず、広い範囲の市場に見られる重要だがあまり理解されていない現象についても論じられる。
第7章:不正行為
本章では、最後にオークションの暗部に目を向ける。買い手は談合することで競争を軽減できるし、売り手はサクラを利用した架空入札で競争をあおることができる。また、故意のやらせ販売や情報の隠蔽、あるいは品目の虚偽表示といった他の種類の不正行為や準不正行為が論じられる。
付録は、本文とは比較的独立して、基礎的なオークション理論への紹介として読むことが可能である。付録Aでは独立・私的価値の枠組みで、1位価格および2位価格の最適戦略が導出され、収入同値定理が証明される。付録Bでは、ライリーとサムエルソンの最適オークションの枠組みが紹介され、最適留保価格が導出される。付録Cでは、ミルグロムとウェーバーによる関連価値への拡張が紹介され、リンケージ原理から収入順序付け定理が導かれる。また、買い手の非対称性を考慮し、さらにオークションも含む一般の取引メカニズムを視野に入れたマイヤーソンの最適メカニズムが紹介され、ライリーとサムエルソンが考察したクラスでは、彼らの最適オークションが最適メカニズムであることが示される。また、最適メカニズムの採用よりも、追加的な買い手の導入(競争の促進)の方が売り手の期待収入を増加させるというビューローとクレンペラーの結果が紹介される。付録Dでは、収入同値定理の成立や勝者の呪いに関する比較的良く知られた実験室実験が紹介されている。
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