Language: 日本語 English

コーポレートガバナンス

Author(s): 
青木昌彦 著/谷口和弘訳
ISBN: 
4757122616

 

Published Date: 
Fri, 2011-02-25
Publisher: 
NTT出版
Abstract: 
コーポレーション(会社・組織)の本質と行動を進化多様性のひとつとして理解し、ゲーム理論、制度分析、 認知科学の研究成果を取り込んで展開する、比較制度分析(CIA)の創設者・青木昌彦による企業理論の決定版。 オックスフォード大学のクラレンドン講義で行われたレクチャーをもとに、書き下ろした著者10年ぶりの単著。


推薦文



青木昌彦は,ゲーム理論という「社会数学」を用いて,グローバル化という条件下での多様性の持続を説明する過程で,コーポレート・ガバナンスの深層構造を明らかにしている.深遠で,かつオリジナリティの高い彼の分析は,2008-2009年の金融危機の余波をうけたコーポレート・ガバナンス改革の問題に直接光を投じている.
 
――ケンブリッジ大学法学部教授 サイモン・ディーキン
 
 近年,最高の会社のレベルで,不正,腐敗,財政面での無責任といったことが重なったため,インセンティブの重要性を認識した経済学と,社会規範,会社の道徳的文化の重要性を認識した社会学を同時に組み込んだ,現代株式会社のモデルが急務となっている.青木教授は,企業組織にかんする彼の権威ある知識と,認識論的ゲーム理論における文化の役割についての基礎研究を結合し,コーポレーションの学際的モデルをはじめて生み出した.
 
――サンタフェ研究所教授 ハーバート・ギンタス
 
 本書は,コーポレーションの認知的基礎についての厳密な分析を示した開拓者的な著作である.組織形態の多様性の存在,それらを取り巻く歴史的・政治的・社会的・技術的文脈との関連性についての基本的な洞察を与えている.青木教授が進めてきた多くの研究と同様,われわれの株式会社の見方を大きく変えるであろう.
 
――オックスフォード大学サイード・ビジネススクール学長 コリン・メイヤー
 
 ゲーム理論の言語を用いて,一時点での,そして経時的な,コーポレーションの複雑な制度構造・制度的環境を定式化した開拓者的な貢献.
 
――1993年度ノーベル経済学賞受賞/ワシントン大学セントルイス校教授 ダグラス・ノース
 


刊行にあたって:著者ご挨拶
 
 VCASI の活動から何を学んだか/青木昌彦

 
 本書は2010年にオックスフォード大学出版会から出版されたCorporations in Evolving Diversity: Cognition, Governance,and Institutionsの翻訳ですが、VCASIの活動の一環としての『叢書 制度を考える』(NTT出版)の一冊として刊行されました。この書物は2008年のオックスフォード大学におけるクラレンドン講義を土台としていますが,その内容はその講義を真中に挟んでの4年間、VCASIにおいて行った研究や,そこで得た研究交流に負う所が大きいのです。VCASI の目的は,社会の秩序(ルール、制度)とその進化をよりよく理解するため,学際・世代・地理の壁を越境するコミュニケーションの場を実験するということにありますが、そこではこの4年間,私の専門としてきた経済学とゲームの理論の枠を越えて,認知科学(またその基礎としての脳科学)、進化理論,法理論,社会学、政治学、歴史学、ロボット学などの各分野の最前線で活躍されている研究者たち(VCASI フェロー)と若い世代の社会人・学生たち(VCASI フレンズ)のあいだに、バーチャルとリアルの双方の場で、新鮮な討論がおこなわれてきました。そうした場を通じて、私自身考え,学び得たことが,多く本書に反映されています。以下,それらの諸点を簡単に取りまとめてみたいと思います。
 
 第一に,私が学術書として最初70年に発表した『組織と計画の経済学』(岩波書店刊)は,ある与えられた目的を達成する仕組み(メカニズム)が、技術の性格(外部性、規模の経済性など)次第で、どのように市場と組織の間に振り分けられるか,を主題としていました。本書はそうした考えの延長線上に,では、なぜ企業は,コーポレーションという永続的で自己規制的な組織のかたちをとって現れるのかという問題を、その「集合的認知」のシステムという側面に焦点を当てて考えてみました。こうした視点は,企業を一つの「情報システム」として捉えるというアプローチにも連なるともいえますが,その真の狙いはコーポレーションという経済組織の本性の理解に、狭い意味での技術や情報の要請,カネによる支配という客観的要素に替えて、認知という、すぐれて人間的な要素を取り戻すことにあります。そして、集団的な認知システムにおける株主,経営者,従業員(広い意味での労働者)のそれぞれの役割と潜在的貢献の組み合わせ方によって,コーポレーションのアーキテクチャとガバナンスには原理的には5つの基本型があること,そしてそれは最近まで正統派の経済・法・金融理論が主唱してきた株主支配型という理念型にのみ還元しうるものではないことを明らかにしました。それによって,コーポレート・ガバナンス論における株主主権説と複数のステイクホルダーによる信託説という二つの対立した伝統的な考えが,それぞれ相対化されることになります。認知論的な見方の重要性について藤井直敬(理化学研究所)、山岸俊男(北海道大学)、谷淳(理化学研究所)、事業会社を越えてさかのぼるコーポレーションズの歴史的な意味を考える上で源河達史(新潟大学)、池上英子(New School for Social Research), 季衛東(上海交通大学),中林真幸(東京大学),酒井啓子(東京外国語大学)、コーポレート・ガバナンスをめぐって池尾和人(慶応義塾大学),谷口和弘(慶応義塾大学)、宮島英昭(早稲田大学),岡崎哲二(東京大学)、鶴光太郎(経済産業研究所)の各フェローから様々な示唆を得たことを記したいと思います。
 
 第2に、企業組織を「集合的なチーム」、あるいは「合理的主体間の契約関係」として見ることには,根本的に両立不可能な対立があるのか、という問題を考えてみました。このふたつの見方は,伝統的な社会学的アプローチと経済学的アプローチの対立に関わるとも言えましょう。84年に出版した『現代の企業』(岩波書店刊)では,会社企業組織の目的が、どのように株主と従業員の個別利益の葛藤(競争)と折り合い(協定)を通じて浮かび上がってくるか,をテーマとしていました。さらに特定化して言えば,もし企業の成員のあいだに(ナッシュ解の意味で)公平性についての同意が成り立つならば,企業の目的は、企業組織成員の個別的利益の比重づけられた和として表現できることを明らかにしたのです。しかし、株主や従業員が,会社の成長、雇用保障や社会貢献などについて異なった評価を持つ場合には,そうした最大化は企業成員の個別的な利己的行動を約束によって拘束することを必要とします。このように個々のプレイヤーが互いの約束事にコミットしうることを想定した「協調ゲーム理論」にたいし、80年代から90年代にかけて「非協調ゲーム理論」にもとづく,企業理論が主な流れになりました。後者は,個々のプレイヤーの利己的な動機にもとづいて約束事(契約)が事後的に覆されることがないような解を明示的に求めるアプローチです。企業の文脈では,株主を主人(プリンシパル),経営者・労働者をその代理人(エージェント)とするプリンシパル=エージェントの契約理論によって、企業行動が説明されることになります。しかし、こうした個別的な契約関係の背後には,何らかの共通の理解が後ろ盾になっているということはないでしょうか。最近のゲーム理論は、次のことを明らかにしています。すなわち、組織成員の間で移転可能な組織成果の分配について公平性の観念が共有されるならば,個々の組織参加者が各々の個人的物質的利得を追求するよう行動することによって得られる結果は、彼らが同一の目的、すなわち企業のチームとしての利益、を最大化することと同値になるということです。つまり,企業がチームとして成り立つことと,個人が利己的な物質的利益を追求するという想定とが矛盾しないところの、根底的な社会的条件が明らかにされたわけです。もちろん共有されうる公平性の観念は,歴史的に形成される共有知識としての文化および経済・政治・社会の構造の進化に依存しますが,一般的に言って,企業組織は単に効率性追求の道具としてのみあるのではなく,社会関係的な組織としてもありうるということが示唆されるのです。本書ではさらにコーポレーションをも越えた社会秩序一般にとっても,集合的視角と個人主義的視角は必ずしも相反するものではなく,補完的でありうる構造を明らかにしようと努めています(特に第4章)。著者のゲーム理論にかんする理解を深めてくださった点で、神取道宏(東京大学)、金子守(筑波大学)、川越敏司(はこだて未来大学)、小島武仁(Stanford University),松井彰彦(東京大学)、西條辰義(大阪大学)、宇井貴志(横浜国立大学)、安田洋佑(政策研究大学院),また社会のルールの二面性(社会性と個別性)についての議論の相手をしてくださった瀧沢弘和(中央大学)、山岸俊男(北海道大学)の各フェロー、および藤谷武史(北海道大学)、成田悠輔(東京大学)氏に感謝したいと思います。
 
 第3に、本書は、市場を越えた政治や社会関係という文脈におけるコーポレーションの行動をも、ゲーム理論的に明示的に扱おうと試みています。そうすることによって,ダグラス・ノースらの新制度学派や過去十年間支配的な影響力を持ったアンドレイ・シュライファーの法起源論が主張したような、コーポレーションは国家と法による第三者支配によってはじめて成り立つ、という見方から距離を置きます。コーポレーションと国家の形態は,むしろ相互作用しつつ共進化すると見るべきだからだとおもうからです。また、コーポレーションによる社会関係資本の蓄積という概念を導入することによって,会社の社会的責任(CSR)プログラムへの積極的な参加が,どのような経済的、社会的、政治的意味を持つか,の分析をも試みました。これらの分析は、基本的には2001年に出版した 『比較制度分析に向けて』において構想した制度分析の枠組みに依拠しています。しかし、コーポレーションを「集団的認知」のシステムとしてみるという考えと並行的に、制度一般をも、社会の秩序としてのゲームのプレイのしかたに対する「共通認知」を人々の間に生み出す外的表象=集合的な外的認知資産としての側面をより強調することにより、01年の著書の内容をさらに一歩進めることが出来たと自負します。制度の超学際的(trans-disciplinary)な理解にかんしては,橋本敬(北陸先端科学技術大学院)、Carsten Herrmann-Pillath (Frankfurt School of Finance and Management),加藤淳子(東京大学),河野勝(早稲田大学)、大屋雄裕(名古屋大学),鈴木健(東京大学),山岸俊男(北海道大学)各フェローとの対話から多くのことを学びました。
 
 第4に,以上のような一般理論的な考察をバックグラウンドにして、本書最終章では,日本のコーポレート・ガバナンスのランドスケープについての独自の解釈を試みています。そこでは、日本の状況を基本的に制度変化の過渡期における徴候として理解しようとしています。日本のデータについては,VCASIに先立つ経済産業研究所時代の共同研究における宮島英昭氏の業績に多くよっていますが,さらに現状理解を深めるうえで、Gerald Curtis (Columbia University),玄田有史(東京大学)、久米郁男(早稲田大学),宮崎広和(Cornell University),守島基博(一橋大学)、寺西重郎(日本大学)、鶴光太郎(経済産業研究所),山口一男(University of Chicago)各フェロー、および清水真人氏(日本経済新聞)との対話が大いに有意義でした。
 
 このように本書をVCASIでの研究成果物の一つとして、読んでいただけるならば大変に幸いです。
Field Body: 
 

VCASIは今般、企業を含む広義の社団組織としてのコーポレーションという概念の捉え直しを、理論・実証・政策の諸領域にわたって検討する研究プロジェクト「コーポレーション」を立ち上げた。本公開フォーラムはそのキックオフといえるもので、プロジェクトメンバーを中心に今後の課題について広く採り上げ、また議論することを目的としている。フォーラムは、

(1)認知科学の成果を取り入れたコーポレーション概念の理論的検討、

(2)日本・西欧・イスラーム・中国における社団組織の比較分析、

(3) (1)(2)を踏まえたコーポレート・ガバナンスや雇用問題の検討

をそれぞれ主題とする3部より構成され、パネルには総勢15名の研究者・実務家が立った。

第4回VCASI公開フォーラム『コーポレーション』

日時: 
2009年3月28日(土) 10時から17時半
場所: 
日本財団ビル2F 大会議室
発表者: 
青木昌彦(VCASI主宰、スタンフォード大学名誉教授)
源河達史(新潟大学超域研究機構准教授;VCASIフェロー))
池上英子(New School for Social Research教授;VCASIフェロー)
池尾和人(慶應義塾大学経済学部教授;VCASIフェロー)
季衛東(上海交通大学法学院院長、神戸大学法学部教授;VCASIフェロー)
久米郁男(早稲田大学政治経済学部教授;VCASIフェロー)
宮島英昭(早稲田大学商学学術院教授;VCASIフェロー)
守島基博(一橋大学大学院商学研究科教授;VCASIフェロー)
中林真幸(東京大学社会科学研究所准教授;VCASIフェロー)
新原浩朗(経済産業省経済産業政策局産業組織課 課長)
酒井啓子(東京外国語大学大学院教授;VCASIフェロー)
瀧澤弘和(多摩大学グローバルスタディーズ学部准教授;VCASIフェロー)
谷口和弘(慶応義塾大学商学部准教授;VCASIフェロー)
鶴光太郎(RIETI上席研究員;VCASIフェロー)
植田一博(東京大学大学院総合文化研究科准教授;VCASIフェロー)
概要: 

グローバル化した世界において、企業の組織構造とコーポレート・ガバナンスはいかなるものになるのだろうか。

世界的な金融危機に直面する今日、株主志向のコーポレート・ガバナンスへの単純な収斂論には疑問が付され、この問いは一層切実なものとなっている。変化の先を見据えるためには、企業と企業を機能させる政治・社会制度との連関を見つつ、それらの果たす役割に着目することが必要である。他方、認知科学や脳科学における社会的認知に関する知見の蓄積や実験経済学の成果などから、経済学がこれまで依拠してきた、合理的個人を基礎として組織を捉えるモデルの限界が明らかになり、個人と組織の関係を分析する新たなアプローチが模索されている。企業を含む広義の社団組織としてのコーポレーションという概念の捉え直しが、理論・実証・政策の諸領域にわたって求められているといえるだろう。

今般、VCASIでは上述した問いにアプローチするべく、「コーポレーション」をテーマに研究プロジェクトを立ち上げた。本公開フォーラムはそのキックオフともいえるもので、プロジェクトメンバーを中心に今後の課題について広く採り上げ、また議論することを目的としている。

まず第1部では、集団的認知とコーポレート・ガバナンスの形態との結びつきを理論的に考察し、コーポレーションの多様化を分析する視座を提示する。続く第2部では、コーポレーションの自己統治を機能させる文化や社会規範が、それぞれの政治・社会において形成されてきた過程を、日本・中国・西欧・イスラームを事例に、比較・歴史的な視点から議論する。そして第3部では、こうした議論をふまえ、今日の経済危機や雇用問題をみるとき、いかなる政策的含意が引き出せるか議論する。

パネルには社会科学諸分野や認知科学などの研究者・実務家が立ち、ディシプリンを越えた討議を行う。
関心をお持ちの多くの方に、参加をお願いしたい。 (プロジェクトリーダー:青木昌彦)

プログラム:

(1) 第1部 コーポレーションの本質を再考する---認知システムとしての側面から
10:00-12:00
報告:青木昌彦(VCASI主宰、スタンフォード大学名誉教授)
ビデオあり: 
報告ページにビデオあり
Author(s): 
青木昌彦、奥野正寛、金ケイキ
ISBN: 
4532131405
Published Date: 
Sat, 1997-11-01
Publisher: 
日本経済新聞社
Abstract: 
「市場か政府か」あるいは「市場友好的見解か開発指向国家的見解か」の二者択一ではなく、政府の役割に関する第三の見解「市場拡張的見解」を提示。日本をはじめ、世界のあらゆる国・地域の経済発展・構造改革、経済システム論争への豊富な含意を備えた革新的な理論・歴史研究。
Field Body: 

Author(s): 
青木昌彦、ロナルド ドーア
ISBN: 
487188404X
Published Date: 
Fri, 1995-12-01
Publisher: 
NTT出版
Abstract: 
日本企業の本質的理解と制度改革をめざす14の論文を収録。日本経済の進むべき道を示唆。「日本企業の研究開発」「企業集団とメインバンク制度」「株式持合いとコーポレート・ガバナンス」など。
Field Body: 

Author(s): 
青木昌彦
ISBN: 
448085617X
Published Date: 
Thu, 1992-10-01
Publisher: 
筑摩書房
Abstract: 
企業を中心とする日本経済のミクロ構造を統一的・包括的に分析し、日本経済の基本的な制度構造の特性を明らかにした画期的な研究成果。1990年日本学士院賞。全米大学出版局連合第1回有沢広巳記念賞。イタリア・イグレシアス経済科学賞各賞受賞。
Field Body: 

社会科学の役割は「見晴らしのいい丘」

語り手:鶴光太郎 経済産業研究所上席研究員
聞き手:大西健、成田悠輔(VCASI研究助手)

鶴光太郎氏(東京財団仮想制度研究所(VCASI)フェロー、経済産業研究所上席研究員)は、経済企画庁(当時)を皮切りに、OECD、日本銀行でのエコノミスト経験を経て現在は経済産業研究所で比較制度分析や経済システム分析、コーポレートガバナンスなどの分野で研究を行っている。本インタビューでは、鶴氏がこれまで政策現場そしてアカデミアにおける研究から見てきた「制度」への認識や課題、社会システムのあり方、さらにはVCASIと今後の政策研究の可能性についてお話をうかがった。
 
Author(s): 
谷口和弘
ISBN: 
4757121881
Published Date: 
Fri, 2006-12-15
Publisher: 
NTT出版
Abstract: 
戦略経営論の基本的な考え方を解説。
さらに、際立つ個人や際立つ企業を知るために、「浜崎あゆみ」「中村邦夫」「グーグル」「ヴィロン」の4つのケースについて紹介する。

「実学としての戦略経営論は、すぐに役立つノウハウ、カネモウケのコツ、あるいはヒルズ族になる(六本木ヒルズだけでなく、ビバリーヒルズも含む)になる秘訣を教えてくれないとしても、企業の環境や資源を分析し、経営の質を高めるための参考にはなる(あとがき 成功は失敗の素より)」

経営者、ビジネス・パーソン、企業や戦略経営の研究にかかわっている研究者や大学院生、経営学に関心のある高校生など、必読の書。

理論と現実の相互作用という「実学の精神」とは何か、について本書をつうじて理解し、賢く戦う知恵を身につけてほしい。
Field Body: 

Author(s): 
谷口和弘
ISBN: 
4757121814
Published Date: 
Sat, 2006-06-24
Publisher: 
NTT出版
Abstract: 
企業とは何か、企業は制度をどう配置するのか。企業の境界と組織デザイン、会社法と比較コーポレート・ガバナンスの最新問題を、ルイ・ヴィトンからライブドアまで豊富な事例と最新理論を用いて分析。21世紀の企業・株式会社研究の新機軸。企業制度論が示す現代経営の指針。
Field Body: 

Author(s): 
谷口和弘
ISBN: 
4757122187
Published Date: 
Fri, 2008-06-13
Publisher: 
NTT出版
Abstract: 
本書は,組織とは何かを理解するためのさまざまな理論やケースを扱っている。資生堂やYKKなどの15のケースをつうじて,理論を用いながら現実が解釈できるような構成になっている。その姉妹編である『戦略の実学:際立つ個人・際立つ企業』(NTT出版, 2006) では,個人や企業が他とは異なる際立った存在になるために,戦略がはたす役割に焦点をあてた。本書では,戦略を実行する仕組としての組織がはたす役割に焦点をあて,組織がもつ毒と薬の両面について論じた。ただし,これらの本はともに「理論と現実の相互作用」を強調する実学の精神にもとづいており,両者を補完的に利用することで企業の性質をより深く知ることができるだろう。
Field Body: 

First Name(English): 
Kazuhiro
Last Name(English): 
Taniguchi

 

Speciality: 

戦略経営論,制度経済学

Interests: 

比較コーポレート・ガバナンス,認知と行動,企業の境界と組織アーキテクチャ,比較制度分析

Recent Thoughts: 
企業を理解するうえで,「戦略」「組織」そして「ガバナンス」がカギだと考えている。そして,これらの企業制度を理解するには,経営者のビジョンや戦略的意思決定,企業を構成するステイクホルダーの相互作用のパターン,そして組織のなかで開発・蓄積されたケイパビリティに焦点をあてなければならないだろう。比較制度分析の方法を「超ミクロ的」に応用するとともに,事例研究やテキスト・マイニングなどの力を借用しながら,株式会社のガバナンス・システムの多様性,企業における個人の認知と行動,そして企業の境界と組織アーキテクチャの変化といった一連の問題に取り組んでみたいと思っている。
Recent Works: 
Affiliation: 
慶應義塾大学
First Name(English): 
Hideaki
Last Name(English): 
Miyajima
Speciality: 

日本経済論, 日本経済歴史

Interests: 

企業統治と企業金融、日本型企業システムの歴史的進化、経済発展とM&A

Recent Thoughts: 

日本企業がどこに向かうのか。とくに、外部投資家との関係では資本市場による役割が大きく上昇する一方、企業内部の組織はいぜん日本型モデルの特徴を維持す るという意味で、ハイブリッドな性格を持ち始めた日本企業の進化の方向やそのガバンナンスのメカニズムを考えています。近年、持合の「復活」が指摘されて いますが、日本企業の間にどのような株式所有構造が定着していくのか、メインバンクが後退した後、状態依存型ガバナンスはどのような形をとるのか、事業 ポートフォリオ・分権化・企業統治の相互関係はいかに理解できるか、自律的ガバナンス・内部ガバナンスの条件としての企業間競争の役割、などがいま検討を 要する焦点ではないでしょうか。VCASIの場を借りてこうした点に関して議論できればと期待しています。

Publications: 
  • Kikkawa, Hikino and Miyajima, ”Policies for Competitiveness: Comparing Business-Government Relationships in the Golden Age of Capitalism”, Oxford University, 1999. "Japan's Banking Crisis: An Event Study Perspective"Journal of Banking and Finance, vol.31, pp.2866-2885 (with Yisahy Yafeh).
  • 『産業政策と企業統治の経済史:日本経済発展のミクロ分析』有斐閣、2004年
  • 宮島英昭編『日本のM&A 企業統治・組織効率・企業価値へのインパクト』東洋経済新報社、2007年
  • Aoki, Jackson and Miyajima ”Corporate Governance in Japan: Institutional Change and Organizational Diversity”, Oxford University Press, 2007. The Evolution of Ownership Structure: the curious case in Japan (with Julian Franks and Colin Mayer)、2007
Recent Works: 
  • 『企業統治分析のフロンティア』早稲田大学21世紀COE叢書「企業社会の変容と法創造」第8巻、日本評論社、2008年
  • 『日本の企業統治:その進化と世界経済危機のインパクト』、東洋経済新報社
Affiliation: 
早稲田大学商学学術院、早稲田大学高等研究所
First Name(English): 
Ikuo
Last Name(English): 
Kume
Speciality: 

政治過程論

Interests: 

労働政治、利益団体政治、政治過程分析

Recent Thoughts: 

政治の世界においては、均衡として「制度」が選択された後にも、「敗者」はその制度に必ずしも適応したり、消え去るわけではない。このことが政治の分析にお いて持つ意味を考えていきたいと思っている。

Publications: 
  • Disparaged Success: Labor Politics in Postwar Japan, Cornell University Press, 1998.
  • 『労働政治』(中公新書)、2005年5月.
  • Thelen, Kathleen and Ikuo Kume, 2007,  “Coordination as a Political Problem in Coordinated Market Economies,” Politics & Society,19-1
Recent Works: 
  • How Interest Group Politics Falls: The Case of Japan
  • 専門知の蹉跌:労働政策改革はなぜ「成功」しなかったのか
  • Taking Politics Seriously”in “Labor History Symposium: Mari Sako’s Shifting Boundaries of the Firm,” Labor History 42-2, 2008.
Affiliation: 
早稲田大学
First Name(English): 
Kazuhito
Last Name(English): 
Ikeo
Speciality: 

経済学

Interests: 

日本経済、比較金融システム論、企業統治

Recent Thoughts: 

2008年度は、久々のサバティカル(特別研究期間)だったが、春にはちょっとした騒動に巻き込まれ、夏からは金融・経済危機が本格化してきたので、当初の予定は全く反故にせざるを得なくなった。経済危機が起こると、It's interesting time. (Richard Levin)という感じで、経済学者は総じて高揚した気分になるようだ。私もその例外ではなかったが、高揚した米国の経済学者達はめざましいスピードで質の高い分析成果を膨大に積み上げている。それに対して、日本では「市場原理主義は間違っていた」とか「米国型強欲資本主義は終焉した」とかいった雑ぱくな議論しかなく、こんなことではますます知的に後れをとるだけだという危機感を感じた。こうした高揚感と危機感から、池田信夫さんに手伝ってもらって1つ本を出版した。結局、これだけがサバティカルの成果になった。

Publications: 
  • 『なぜ世界は不況に陥ったのか』(池田信夫と共著)日経BP社、2009年
  • 『開発主義の暴走と保身 - 金融システムと平成経済』NTT出版、2006年
  • 『銀行はなぜ変われないのか - 日本経済の隘路』中央公論新社、2003年
Recent Works: 

『現代の金融入門』(ちくま新書)改訂

Affiliation: 
慶應義塾大学
First Name(English): 
Masahiko
Last Name(English): 
Aoki

 

Speciality: 

比較制度分析

Interests: 

ゲーム理論的概念枠組みを用いた社会科学統合の方法論、組織におけるグループレベル認知構造とガバンナンスの間の補完性

Recent Thoughts: 

文化、社会規範や習慣、国家、市場、組織などの諸制度を、人々が利得と考えるもの、相互作用のモードなどによって区別されたさまざまなドメインにおけるゲームの均衡の要約表現=共同予想として概念化し、それらの間の相互関連性の論理構造に関心を持っています。さらには、そうした均衡が成立、進化するための条件として、公的なindicators、ひとびとの間の認知の構造のあいだの関連性、知識の集団的集積としての文化などの役割についても考えたいと思っています。

Publications: 
Recent Works: 
Affiliation: 
スタンフォード大学、東京財団、一橋大学

第2回VCASI公開フォーラム 『移り行く資本主義 I:コーポレート・ガバナンスと人的資産』

日時: 
2008年1月18日(金) 15時から18時半
場所: 
日本財団ビル2階 大会議室
発表者: 
Simon Deakin (University of Cambridge)
青木昌彦 (スタンフォード大学;VCASI主宰)
宮島英昭 (早稲田大学;VCASIフェロー)
池尾和人 (慶應義塾大学;VCASIフェロー)
守島基博 (一橋大学大学院)
コーディネーター: 
鶴光太郎 (経済産業研究所;VCASIフェロー)
概要: 
最近の日本や西ヨーロッパでは、コーポレート・ガバナンスと人的資源経営のリンケージに関して新しいパターンの形成をうかがわせるような動きが見られています。この動きはどう解釈されるべきでしょうか?株式市場が企業のコントロールの役割を担う、という最近まで支配的だった考えは、それをうまく説明することができるのでしょうか?
このフォーラムでは、今ヨーロッパでもっとも精力的にこのテーマについての理論的・実証的研究を発表しているケンブリッジ大学教授、同大学経営研究所副所長サイモン・ディーキン教授を招いて討論を行います。VCASIからは青木昌彦主宰が最新の研究成果を発表し、又数人のフェローが議論に加わります。奮ってご参加の程、お願い申し上げます。

議事次第:

第一部 基調講演 (15:00-16:30)

青木昌彦(スタンフォード大学名誉教授;VCASI主宰) 15:00~15:40
Simon Deakin(ケンブリッジ大学法学部教授) 15:45-16:30
ビデオあり: 
報告ページにビデオあり