Language: 日本語 English

敵対的企業買収

Author(s): 
滝澤 美帆,鶴 光太郎,細野 薫
日付: 
Wed, 2007-08-01
Abstract: 

本論文は、2005 年度、2006 年度に敵対的買収防衛策を導入した企業の特徴について分析を行った。敵対的買収防衛策導入の動機を、①企業パフォーマンスの不振、②経営保身目的、③その 他被買収確率に影響する要因、に分けて分析を行った結果、次の結果が得られた。第一に、ROAやトービンのQなどで測った企業パフォーマンスが悪化した企 業が買収防衛策を導入するわけではない。第二に、社齢が長い企業、役員持ち株比率が低い企業、持合株式比率が高い企業ほど買収防衛策を導入する傾向が強 く、経営保身や株主との利害対立が買収防衛策導入に影響を与えていることを示唆している。第三に、支配株主の比率が低い企業、機関投資家比率の高い企業ほ ど買収防衛策を導入しており、株式保有が流動的で買収されやすい企業ほど買収防衛策を導入している。 このように、経営怠慢による買収脅威の高まりに対して「隠れ蓑」、「塹壕」として買収防衛策を導入しているわけではないが、特に、持合比率の高い企業ほど 買収防衛策を導入しやすいという結果は、経営保身目的を示す顕著な証拠といえる。 敵対的買収の現実化の中で企業同士の株式持ち合いが再び復活してきていることが指摘されている。こうした中で、もともと株式持合で経営者の「塹壕」を築い てきた企業がさらに買収防衛策でその「塹壕」を強化しようとしている。買収防衛策導入にはそれなりの固定コスト負担が伴い、規模の小さい企業は相対的に不 利になることも考え合わせれば、企業が個別にポイズンピル型買収防衛策を導入するのではなく、公開買付ルール(特に、全部買付義務)の強化を図ることで濫 用的な買収を排除していくという視点(鶴(2006))も重要であろう。