Language: 日本語 English

相互信頼

Author(s): 
Ji Weidong
日付: 
Wed, 2007-08-01
Abstract: 

本論文は、信頼の視点から中国の伝統的秩序原理と関連の制度設計に関する再検討を行うものである。まずは、伝統 的言説に基づいて、人間の相互信頼を強調するが、統治者の臨機応変的「不必信」を認めるという儒学の立場と、国家の威信を重視するが、人間の性悪論的「不 可信」を前提として社会コントロールを敷くという法家の立場と、を区別する。そのうえ、質・信・礼の「三つ巴」、連帯責任によるコミュニティ安全の保障、 法律と関係の組合せ、毛沢東の「二つの信任」公式、絶対的安心をめざしながら普遍的な不安をもたらしてしまうパラドクス、および、高い信頼度を示した質問 表調査データの読み方などをも分析したい。
なお、現代法体系の構築と信頼については、急激な社会変動、アノミー、グローバライゼーションによるさまざまなリスクと不安を背景に、伝統的な「礼法双 行」の発想を超え、非交換的信頼、組織間信頼、そして普遍信頼などの異なる次元で、法治による信頼および法治への信頼の必要性と可能性を吟味し、さらに法 の需要に応答できるような信頼の制度的操作方式を考察する。こうして得た概念の道具的枠組みにより、とくに人格・権力・法律の三者関係に焦点をあわせなが ら、中国で進んでいる法整備の成果、困難および問題点を明らかにし、「公信力」の動揺や「誠信危機」の深刻化を回避できるための条件ないし社会セキュリ ティ・ネットワークの形成とあり方を展望する。