Language: 日本語 English

最後通告ゲーム

Author(s): 
橋本博文 ・ 山岸俊男
Date: 
Wed, 2007-08-01
Abstract: 

本研究では、独裁者ゲームと最後通告ゲームにおける分配者の動機に着目したvan Dijk & Vermunt (2000)の実験(第一実験)を取り上げ、彼らの実験の追試を行うことによって、2つのゲームにおける実験状況の認知と、実際の行動との関連を調べた。 彼らの実験手続きを踏襲し、101名の参加者を対象に追試を行ったところ、独裁者ゲームの分配者はゲーム状況を“モラルが試される状況”として認知しやす い一方、最後通告ゲームの参加者は、独裁者ゲームの参加者よりも“競争力が試される状況”として認知しやすいことが事後質問紙において示された。このこと は、独裁者ゲームの参加者は平等規範に従って行動する一方、最後通告ゲームの参加者は戦略的な動機に従って行動するというvan Dijk & Vermunt (2000)の予測ないし実験結果と概ね合致する結果といえる。ただし本研究においては、実際の行動指標において、最後通告ゲームの分配者が戦略的な動機 に従って公正な分配をしているという彼らの実験結果を十分に再現することはできなかった。そのため、追試上の問題点を検討するとともに、彼らの実験結果を 再考した。

Author(s): 
堀田結孝 ・ 山岸俊男
Date: 
Wed, 2007-08-01
Abstract: 

最後通告ゲームにおいて,相手の責任や意図とは無関係に生じた不公正分配の拒否が観測されるかどうかを検証する と共に,その拒否が不公正結果に対する嫌悪によって生じた行動であるかを検討するために,137名を対象とした最後通告ゲームと独裁者ゲームを実施した。 参加者は,最後通告ゲームで受け手の役割に割り当てられ,不公正分配の提案を受け入れるか拒否するかを決定した。最後通告ゲームでは,提案者が意図的に不 公正分配を行う“意図あり条件”と,提案者の意図とは無関係に不公正分配が生じる“意図なし条件”の2つの条件が個人間要因として操作された。更に、参加 者は最後通告ゲーム終了後,独裁者ゲームに分配者として参加し、相手へ分配する金額を決定した。実験の結果,意図なし条件でもわずかながら拒否者が観測さ れ,また意図なし条件での拒否者は受け入れ者よりも、独裁者ゲームで公正分配を行う傾向にあった。実験結果は,相手の意図とは無関係に生じた不公正分配の 拒否は,純粋に公正結果を追求する動機に基づく行動である可能性を示唆している。

Author(s): 
堀田結孝 ・ 山岸俊男
Date: 
Wed, 2007-08-01
Abstract: 

最後通告ゲームでの不公平分配の拒否動機を検討するため,228名を対象とし,最後通告ゲームと,受け手が拒否 しても提案者の利益は変わらない一方的最後通告ゲームを用いた実験を実施した。更に,一方的最後通告ゲームでの拒否動機が,社会的罰に基づくものか,同一 性保護(福野・大渕, 2001)に基づくものであるのかを検討するため,受け手の拒否が提案者に伝わる“伝達ありゲーム”と,伝わらない“伝達なしゲーム”の,2種類の一方的 最後通告ゲームが設定された。3種類のゲーム条件およびプレイヤー条件は,すべて参加者間要因として操作された。2種類の一方的最後通告ゲームでの拒否率 は,最後通告ゲームでの拒否率の半分程度存在しており,伝達ありゲームと伝達なしゲームの間で,拒否率に差はなかった。結果は,最後通告ゲームでの不公平 分配の拒否のかなりの部分が,同一性保護に基づいていることを示唆している。最後に,コミットメント装置(Frank, 1988)としての同一性保護の適応的役割についての考察が加えられた。