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VCASI was implemented as a Tokyo Foundation project from April 2007 through March 2011.

第1回学校選択制デザイン研究会『学校選択制へのメカニズムデザインアプローチと実験』

日時:     11月4日(火)13:00から
場所:  日本財団ビル3階 A会議室
発表者: 瀧澤弘和氏(多摩大学:VCASIフェロー)、 渡邊泰典氏(東京大学大学院ものづくり経営研究センター:VCASI助手)
概要:     このたび東京財団仮想制度研究所(VCASI)では、新たにフェローに加わっていただいた安田洋祐氏(政策研究大学院大学) らを中心に「学校選択制デザインプロジェクト」(School Choice Design Project)を立ち上げ、地方自治体と連携しつつメカニズムデザイン理論などの理論的裏付けに基づく学校選択制についての現状分析および政策提言を行なっていくことになりました。この研究会では、メカニズムデザイン理論やマッチング理論の学校選択制への応用に関する最新の学術論文の輪読を通じ実際に全国各地で導入が進められている学校選択制について現状分析や政策提言を行なっていく上でのひとつの理論的基礎を身につけると同時に、必要に応じてそれらの理論に基づくアプローチの限界や補完的アプローチの可能性について検討することを目指しています。

内容:     以下の文献に関する報告 
  1. A Abdulkadiroglu and T Sonmez. (2003). "School Choice: A Mechanism Design Approach." American Economic Review.
  2. Y Chen and T Sönmez. (2006). "School Choice: An Experimental Study."Journal of Economic Theory.
  3. J Pais and Á Pintér. (2008). "School Choice and Information: An Experimental Study on Matching Mechanisms." Games and Economic Behavior.

 

2008年11月4日(火),学校選択制デザインプロジェクトの第1回研究会『学校選択制へのメカニズムデザインアプローチと実験』が開催された.まず最初にプロジェクトリーダーである安田洋祐フェローから,このプロジェクトおよびプロジェクト研究会の狙いについての説明が行われた.

続いて,当日の報告の前半として,瀧澤弘和フェローからAbdulkadiroglu and Sonmez (2003)に関する報告が行われた.この論文では学校選択問題を学校と学生のマッチングの問題として定式化し,学生たちが虚偽の申告を行わないような割当メカニズムとしてゲール=シャープレーメカニズムとトップ・トレーディング・サイクルメカニズムを提案し,その性質を理論的に分析している.前者のメカニズムは,優先順位の高い学生が優先順位の低い学生が割当てられている学校を望むという「正当な羨望(justified envy)」を消去するような他のメカニズムをパレート支配することが示されているが,一方で実現する結果がパレート効率的であるとは限らない.逆に後者ではパレート効率的な結果が実現するが正当な羨望を除去できるとは限らない.したがって,正当な羨望の除去と効率性のどちらを優先するかによって望ましいメカニズムが変わってくることになる. (報告資料)

以上の理論的背景を踏まえ,渡邊泰典氏からゲール=シャープレーメカニズムとトップ・トレーディング・サイクルメカニズムの性質を実験を用いて分析した二本の論文に関する報告が行われた.Chen and Sönmez (2006)は学生の学校に対する選好の分布の変化が,実現する結果にどのような影響を与えるかという観点から実験およびシミュレーションを行っている.その結果,理論的な含意とは逆に,ゲール=シャープレーメカニズムの方がトップ・トレーディング・サイクルメカニズムよりも効率的であるという結果を示している.特に,学生の選好の間の相関が弱い場合においてこの差が顕著であった.二本目のPais and Pintér (2008)では,割当てられるエージェントが他のエージェントや学校について持っている情報の量が実現する結果にどのような影響を与えるかを分析している.ゲール=シャープレーメカニズムでは情報を持たないときの方が効率的になるが,トップ・トレーディング・サイクルメカニズムでは情報の差は効率性に影響せず,情報が多い場合には他のメカニズムよりも効率的であった.(報告資料)

ディスカッションでは,川越敏司フェローを始めとして多数の参加者から,現実の学校選択制や実験方法などを含め多数の話題について活発な議論が交わされた. 


 


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