Language: 日本語 English

第3回VCASIセミナー「『慣習経済と市場・開発---ウズベキスタンの共同体に見る機能と構造』をめぐって」報告

日時:      8月12日(火)17時から
場所:      日本財団ビル2階第1会議室
発表者:  樋渡雅人氏(ウズベキスタン経済、「慣習経済」の理論/東京大学東洋文化研究所)
コーディネーター
: 成田悠輔氏(VCASI研究助手)



2008年8月12日、VCASIではウズベキスタン経済および「慣習経済」の理論が専門の樋渡雅人氏(東京大学東洋文化研究所)を迎え、「『慣習経済と市場・開発---ウズベキスタンの共同体に見る機能と構造』をめぐって」と題するセミナーが行なわれた。参加者はVCASIフェローの加藤創太、鈴木健、瀧澤弘和をはじめ、経済学、政治学などを専攻する大学院生、学部生を中心とした10名余り。発表、議論は、2008年4月に出版された処女作『慣習経済と市場・開発---ウズベキスタンの共同体に見る機能と構造』(東京大学出版会)とその後の理論的展開の検討を目指して進められた。

同書は、旧ソ連中央アジアをめぐる社会人類学的、民俗学的研究が示唆する、血縁や地縁に根差した地域共同体(ウズベキスタンでは「マハッラ」と呼ばれる)における互酬的経済活動の重要性にもかかわらず、従来の移行経済論ではその開発政策的含意がほとんど無視されてきたとの問題意識の下、地域共同体の機能を「慣習経済」として捉えなおし、その開発政策的含意を描くことを目指して執筆された。

具体的には、家計調査で得られた個票データに基づくミクロ計量分析を用いたプライベート・トランスファー(家計間の現金・財貨の移転授受)の実体---特にその社会保障的機能---の解明、現地での複数回にわたるフィールドワーク調査に基づくウズベキスタンの地域共同体「マハッラ」の持つ「機能的クラスターが幾重にも重なり合った」機能的、構造的特徴の抽出が議論の中心を成す。

発表では、それらの議論の紹介に加え、10数人程度の固定メンバーが定期的に饗宴や歓談を開催する慣習「ギャプ」や人生の様々な契機に家族が主催する儀式、饗宴である「トイ」などの個別事例について写真や資料を用いた分析が行なわれ、議論の一層の具体化、立体化が試みられた。発表に続く議論では、「共同体」や「慣習」の持つ機能とその概念化の方法、旧ソ連中央アジアや東南アジアの他国との比較などをめぐって議論が交わされた。



注意:コメントは管理者の承認後表示されます。

新しいコメントの投稿

このフィールドの内容は非公開にされ、公表されることはありません。