VCASIでは,制度に関する進化しつつある学問的な知見を広く社会に伝えることを目的として,現在NTT出版より叢書≪制度を考える≫シリーズの刊行をすすめています。
*叢書 ≪制度を考える≫ 創刊の辞
20世紀の終わりに中東欧の共産主義政治経済体制が崩壊するにおよんで、久しく続いた資本主義市場経済との優劣論争には幕が下ろされた。とはいえ、このことが直ちに市場制度による摩擦のない世界統合を意味するものではないということが明らかになるのに、時間はかからなかった。....(つづき)
■ 既刊
1.
青木 昌彦 Masahiko Aoki
『比較制度分析に向けて』(新装版) 瀧澤弘和/谷口和弘訳,NTT出版 2003年刊
原書:Towards a comparative institutional analysis (The MIT Press, 2001)
比較制度分析の創始者自身が,これまでの研究の集大成してその分析枠組みを示した書.市場制度をもっぱら研究対象としてきた既存の経済学の枠組みを超えて,「制度とは何か,制度はどのように生成・進化し多様性を示すのか,各国の経済制度は収斂を示すのか,多様性を保持するのか」等々の基本的な問いが超学際的な最先端の研究を通して解答されている.制度に興味を持つ研究者必読の書である.
2.

呉 敬璉 Jinglian Wu
『現代中国の経済改革』 青木昌彦監訳,日野正子訳,NTT出版 2007年刊
原書:当代中国経済改革(上海遼東出版社、2004年)
中国の経済改革にもっとも大きな影響力をもってきたと言われる経済学者が提供する,包括的で洞察力に満ちた中国経済像である.最初の部分で,社会主義経済(あるいは理想的な社会・経済秩序一般)の本質が議論され,中間の諸章において,さまざまな分野における改革の成果の分析と未解決の課題が提示されている.最終章では,経済学を超えて,著者の社会学,政治学,道徳哲学的知識を動員した統合的な改革像が提示されている.
3.

ジョン・マクミラン John McMillan
『市場を創る』 瀧澤弘和/木村友二訳,NTT出版 2007年刊
原書:Reinventing the Bazaar――A Natural History of Markets (Norton, 2002)
人間は市場とどうつきあってきたのか.古今東西の市場にまつわるあらゆる現象を最先端の経済学的ツールで分析し解説する中で,市場原理主義でも反市場主義でもない市場像が提示される.

アブナー・グライフ Avner Greif
『比較歴史制度分析』 岡崎哲二/神取道宏監訳 2009年刊
原書:Institutions and the Path to the Modern History (Oxford Univ. Press, 2005)
比較歴史制度分析という分野を創始した著者による,これまでの著作の集大成と
もいうべき著作である.西欧中世に題材をとり,この時代に交易が急速に拡大し
た要因をゲーム理論を用いた制度分析によって説明する.また,こうした分析の
意義を振り返り,経済学者が制度や制度変化をどのように概念化すべきかが論じ
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5.

安田洋祐、小島 武仁、瀧澤 弘和、川越 敏司、友枝 健太郎、成田 悠輔、佐藤 孝弘、青木 昌彦
『学校選択制のデザイン』
本書は、ゲーム理論研究で明らかにされた最先端の知見をバックグラウンドに、日本の学校選択制の実態や問題点を自治体レベルからくみ上げつつ、制度の改善や設計にどうような示唆が得られるかを、さまざまな角度から探求した.
(→解説)
(→執筆チームより)
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■ 翻訳進行中
サミュエル・ボウルズ Samuel Bowles
『ミクロ経済学 ――行動・制度・進化』塩沢由典/磯谷明徳/植村博康訳
原書:Microeconomics――Behavior, Institution, and Evolution (Princeston Univ. Press, 2004)
急速に発展を遂げている経済理論をフル動員し,人間行動と制度が相互のインタラクションでどのように進化をとげてきたのかという根元的視点に立って,現代経済を成立させている諸要素を解き明かす.これまでにないミクロ経済学の教科書.
(現在,翻訳中)

デビッド・ルイス David K. Lewis
『慣習――哲学的考察』 中山幹夫訳
原書:Convention――A Philosophical Study (Blackwell, 2002/First published by Harvard UP, 1969)
哲学者デビッド・ルイスが,カルナップらの規約主義に対するクワインによる批判に対抗して,言語の規約としての側面を明らかにしようとした著作.ルイスがゲーム理論を用いて言語を規約として理解しようと試みた背景には,彼がシェリングの『紛争の戦略』(The Strategy of Conflict)で展開されたゲーム理論に触発された事実がある.ルイスの試みは成功したとはいえないが,議論のプロセスで彼が発見した共通知識 (common knowledge)などの概念は,その後のゲーム理論に甚大な影響を与えた.
(現在,翻訳中)
原書:Natural Justice(Oxford Univ. Press, 2005)
本書においてビンモアは,道徳に対するカント流のア・プリオリな理解に対抗して,道徳原理を,人間の進化の歴史によって自然主義的に理解しようとする.その際,彼は合理的で利己的な諸個人を前提としたゲーム理論的枠組みを採用しており,諸個人が公正な社会契約を締結した社会が発展するという議論を展開している.論争の余地が多いが,道徳原理をゲーム理論的に理解しようとする意欲的な著作である.
(現在,翻訳中)
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ジョーゼフ・ヒース Joseph Heath
『人はなぜルールに従うか』 瀧澤弘和訳
原書:Following the Rules: Practical Reasoning and Deontic Constraint(Oxford Univ. Press,2008)
これまで多くの哲学者や社会科学者たちは,人々が規範に従う理由を,合理的で利己的な諸個人同士のインタラクションによって説明しようとしてきた.本書において哲学者ヒースは,合理性から規範を説明する立場とは正反対に,規範性こそが人間の合理性を支えていることを説得力ある議論で展開する.言語哲学の最近の展開,認知心理学や進化理論の最先端の成果などがわかりやすく解説され,議論の論拠として用いられている.
(現在,翻訳中)
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