Language: 日本語 English

制度変化のスピードと補完性プロジェクト

 

1.Research Question  


なぜ、制度変換は一時的に経済(あるいは計測可能なら政治・社会)パフォーマンスを低める傾向があるのか? 相互に制度補完性を持った政治・経済制度の束としての各種のローカル・マキシマへの到達にはどのような論理や傾向がなりたちうるのか? 制度転換の理想的(オプティマル)なスピードはどのようなものか? 一時的なパフォーマンス低下時に見られる政治的反動(純粋な政治に限られず、社内的な政治変動なども含む)はそれらとどう連関しどう影響を与えるのか?

制度転換の際の一時的な経済の落ち込み、制度転換のオプティマルなスピードなどについては、すでに移行経済学などで議論されてきた。本プロジェクトにおいては、制度補完性と制度転換のスピードという2つの観点を入れた新しいモデルを創り、統一的に説明を試みる。
 

2.現時点での主要な仮説


旧来の制度の束としてのIPnから、何らかの要因によって(ここは外生的に考える)、新たな制度の束としてのIFnを目指した政策転換とそれに伴う制度変化が生じるとき、各制度の転換完了までのスピードが異なること、人の意識・スキルなど(これも制度と考える余地あり)の転換スピードが各制度の転換スピードとずれること、既存の文化・伝統などとの関係性、などから、制度の瓦解と新制度間の不整合(補完性の欠如)、各時点で新たな(部分的)制度補完性のあるItnが順次生まれ、パフォーマンスの一時的低下、当初の制度設計者(政策立案者等)の意図と異なるハイブリッド型の転換経路が発生する。
 

3.政策へのインプリケーション


新しい経済政策へのインプリケーションとしては、制度転換には一時的な落ち込みが不可避であることを踏まえた上、中長期的な政策コミットメントの必要性、各制度の転換スピードのコントロールの必要性、各制度の転換順序の重要性、新しい政策思想と伝統・規範意識などの醸成・進化プロセスの重要性、などを十分に認識した政策形成が必要となる。  また、次のローカル・マキシマを目指した粘着的な探求型の経済政策ではなく、各主体のランダムな試行を可能にするものが望ましい(=より望ましいローカル・マキシマへの経路が拓きやすくなる)。

→本プロジェクトの政策的含意(PPT全10ページ)
 

4.調査方法


順番としては、(0)→(1)→(2)→(4)→(3)を想定している。  
(0) 理論モデル構築
(1) データ分析(分析単位は国単位のものを先行させるが、(日本の)産業単位のものに重点を置く。)
(2) ケーススタディ
(3) コンピューター・シミュレーション(制度転換後のローカル・マキシマへの移行プロセスと、ハイブリッド型ローカル・マキシマの醸成プロセスの確認)。
(4)政策インプリケーションの提示
 

5.アウトプット


一般向け啓蒙書及び研究書の2冊を2009年度に日本経済新聞社から出版する予定。
両者とも編集会議を通っている。事例研究についての記事、中間的な結果等を適宜、新聞等で発信していく。
 

6.プロジェクトリーダー

 

  • 加藤創太(東京財団研究員、VCASIフェロー/比較政治経済)  
  • 小林慶一郎(RIETI上席研究員、VCASIフェロー/マクロ経済、経済発展論)





≪VCASIホームへ戻る≫